"
 ただ、注意しなくてはいけないのは、「がんの増加は認められない」というのは、「がんが増加していない」と同義ではないということだ。
 日本国内でも、都道府県によってがんによる死亡率は何%も異なる。同じ県内でも、年ごとに何%も上下する。
 つまり、仮に年間20~30ミリシーベルトの放射線のせいで0.1%ぐらい死亡率が増加したとしても、それは統計では立証できない。その程度の増加は、統計のゆらぎの中にまぎれてしまうのだ。
 低線量被曝の影響がよく分からなくて、議論の的になっているのは、そのためなのだ。統計から被曝の影響を見出すことはできない。だから「これぐらいの被曝量ならこれぐらいリスクが上がるはず」という理論的な類推しかできないのだ。
 つまり「確かなことは分からない」としか言いようがないのである。

 これを聞いて「影響があるかどうか分からないのはこわい」と思うか、「なんだ、統計に出ないほど小さな害しかないのか」と思うかは、あなたの自由である。
 僕としては、0.1%程度のリスクの増加を恐れるより、他にもいくつもある、がんのリスクを増加させる要因(喫煙、飲酒、肥満、運動不足、野菜不足、塩分の取りすぎなど)を警戒する方が、はるかに合理的で有益だと思うのだが。
"

山本弘のSF秘密基地BLOG:ラジウムだってこわいんだ